証券会社、銀行、保険会社からだけでなく、その他の業界からも転職先として人気が高いIFAですが、その転職の背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、IFAが注目されている理由をその仕事内容や年収、将来性に絡めて読み解いていき、実際に転職する際の留意点についても解説していきます。
IFAに転職するメリット
実際にIFAに転職した方に話を伺うと、転職の決め手は大きく以下の3つのポイントに集約されます。
収入の大きさ
IFAの収入形態は社員雇用の場合と、業務委託契約の場合で大きく2つに分かれています。社員雇用場合は固定報酬と賞与が中心です。
一方で、業務委託契約を締結して個人事業主としてIFA法人に所属する場合は、IFA個人の収入は、手数料売上によって決まる歩合制となります。
業務委託契約の内容にもよりますが、一般的に、IFA法人が得る手数料売上の50-90%がIFAへの報酬となります。
頑張った分だけ収入が上がる仕組みになっているため、実力やネットワークがあるIFAにとっては金融機関に所属しているよりも多く稼ぐことができる可能性があります。
ただし、社員雇用としてIFA法人へ所属している場合は、固定給であるIFA法人が多く、実績と連動する賞与の部分で大きな収入を得るかたちになります。
自由な働き方
IFAは特定の金融機関に所属せず、複数の金融機関と提携を行います。よって、所属金融機関の営業方針やノルマに縛られることがありません。
金融商品の提案にあたっては、特定の金融機関の商品だけではなく、複数の金融機関の商品ラインナップからの商品提案が可能です。
また、特に業務委託契約でIFA法人に所属している場合は、業務報告なども最低限で留められる場合が多く、時間の使い方も非常に自由に決められます。
服装も自由ですし、無駄な社内付き合いもなくなりますので、そういったストレスからも解放されるでしょう。
さらに、副業が可能な場合も多く、フレキシビリティーが高い環境と言えるでしょう。
顧客との関係性
IFAは転勤や異動は原則ありませんので、顧客と長期的な関係性が築けます。
生涯担当制をアピールしているIFA法人もありますが、担当が変わらない一番のメリットは、顧客ファミリーへの理解が深まり、アドバイスやコンサルティングの質が高まることです。
また、顧客にとって新しい担当者とのコミュニケーションはストレスがかかるものですが、担当者にとっても同じ事が言えます。
既にお互いの信頼関係が出来ている状態で、長期的な視点で相談ができることは、IFAにとっても非常に働きやすい環境と言えるでしょう。
IFAへの転職のリスク
IFAへの転職には上記のようなメリットがある一方で、デメリットもあります。以下の3点は、事前に把握しておいた良いポイントでしょう。
収入が不安定に
社員雇用でIFA法人に勤務する場合は別ですが、業務委託契約で働くIFAは基本的に固定給与はありません。売上がない月には月収がゼロになる事も覚悟しておいた方が良いでしょう。
また、個人事業主全般に言える事ですが、会社が負担する健康保険や厚生年金などがなくなりますので、福利厚生面は手薄になります。
会社のブランド力が低い
金融業界ではある一定の知名度がある「IFA」ですが、まだまだ一般の方からの認識は低く、説明が必要です。
ましてや、IFAの企業名を知っている方はほとんどいませんので、企業のブランド力を活用しての営業は期待できないでしょう。
市場情報が少ない
特に証券会社から転職する場合に感じることが多いと思いますが、独自でアナリストやストラテジストを抱えて市場分析を行い、社内レポートの充実している証券会社と異なり、IFAの自社の調査、分析能力には限界があります。
一方で、最近は市場分析レポートなどがウェブ上で取得できたり、お金を払えばある程度の情報が手に入ります。大手証券会社の情報の非対称性は小さくなっていると言えるでしょう。
IFA転職者の前職で最多は証券会社
IFAへの転職を成功させた方々の職歴は様々で、全くの初心者から転職をした方もいますが、主に証券会社、保険会社、銀行などの金融機関、もしくは不動産仲介、車ディーラーなどの営業経験者が多い印象です。
証券会社からの転職理由
IFA転職者の職歴の中で、最も多いのは証券会社からの転職です。最近は野村証券が全国で支店閉鎖を決めたり、新人事制度を導入するなど、金融機関の規模縮小と給与水準の改定が進んでいます。
そのような状況下で、証券会社の将来性や働き方に疑問を感じた方が、ほぼ業務内容が同様で前述のようなメリットがあるIFAに魅力を感じ、転職を志すケースが目立っています。
さらに、証券会社での営業スタイルや顧客との関わり方に不満を感じて転職する人も多くいます。
基本的に転勤や異動で数年で顧客の担当が変わってしまい、長期的な付き合いが出来ないことに対して、違和感をおぼえる人は少なくないでしょう。
また、短期的な収益至上主義の営業方針に多くの方がストレスを感じています。
保険業界からの転職理由
保険会社や保険代理店からの転職者の主な転職理由は、キャリアの幅を広げたい、という点です。
保険商品では、販売できる商品は限られており、担当者によって提案に差をつけることが難しいのが現実です。
また、会社が異なっても同じような商品ラインナップが揃いますので、提案の幅は広がっていきません。
一方で、IFAであれば、業務提携先の多くの保険会社の商品を取り扱えるだけでなく、株式、債券、投資信託といった金融商品を活用して資産運用の提案をすることが可能です。
IFAを経験することで、幅広い金融知識を身につけて顧客の幅を広げ、キャリアの幅を広げていこうと考えて転職を考える方が多くいます。
金融以外からの転職理由
金融業界以外からIFAへの転職を考える主な理由は2つあります。
一つは金融業界へのキャリアチェンジの入口としてIFAを選択するケースです。
二つ目は、自身のネットワークを活用して活躍の幅を広げたい、というケースです。
金融業界へのキャリアチェンジ
金融機関は登録制や免許制であることもあり、社会的信頼が高く位置付けられています。
また、上場企業の業界別の統計を見てみると、その営業利益率は常に他の業界よりも高く推移しており、金融業界で勤務する人の平均年収の高さに繋がっています。
このような背景もあり、金融機関は転職を考える人にとっては有望な転職先として認識されています。
しかし、金融業界以外の方が中途採用で金融機関に転職することは、比較的ハードルが高いとされてきました。
一方で、IFAは金融業界以外からの転職に成功している方も多くおり、金融業界へのキャリアチェンジの足がかりとして注目されています。
自身のネットワークの活用
証券会社の平均年収は約700万円、IFAの平均年収は1050万円とのデータもあります。完全歩合が基本のIFAでは、自身の成果がよりダイレクトに収入に跳ね返ってきます。
平均年収は1050万円ですが、完全歩合が基本ですので給料の上限は実質的には存在しません。
まとめ
IFAへの転職のメリットやリスク、転職先として人気の高い背景をまとめました。
ただし、IFA法人によって経営方針や職場環境は様々ですので、転職を考えている方は実際に会って話を聞いてみたほうが良いかと思います。